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FXの通貨ペアとは、大きく2つに分けられる
FXは取引するとき、2つの通貨ペアで取引します。そして、そこに米ドル(USD)が絡むかどうかで、大きく2つに分けることができます。
- ドルストレート:米ドルの絡む通貨ペア(米ドル/円、ユーロ/米ドル、など)
- クロス通貨:米ドルの絡まない通貨ペア(ユーロ/円、ユーロ/ポンド、など)
そして、FXをするときは、基本的には、米ドルの絡む「ドルストレート」を扱うのがいいとされています。「ドルストレート」を選ぶ理由は、大きく2つあります。
- 世界で行われている通貨取引のほとんどが、米ドルの絡む「ドルストレート」である
- 基本的に通貨取引は、ドルを仲介して行われるので、「ドルストレート」はスプレッドが小さい
では、「ドルストレートがいい」と言われる2つの理由を、細かく見てみます。
取引されるFXの通貨ペアのほとんどは「ドルストレート」
日本に住んでいると、FXの取引といえば、円の含まれた通貨ペアである「クロス円」であるというイメージがあるかもしれません。しかし、世界レベルで見ると、日本のFXの取引量は6位。そして、通貨取引のほとんどは、イギリスとアメリカで行われています。FXの取引量を国別に見ると、次のようになります。
- イギリス(全体の約35%)
- アメリカ(全体の約20%)
- シンガポール(全体の約8%)
- 香港(全体の約7%)
- 日本(全体の約6%)
そのため、FXをしている日本人は世界的に見ると100人中6人程度しかいません。そのため「クロス円」は、世界的に見ると、そこまでメジャーではないわけです。
ちなみに、通貨ペアの取引量も、ほとんどが米ドル(USD)絡みで、3年に1度更新されるBIS(国際決済銀行)の資料によると、2016年の時点で、次のようになっています。
- ユーロ/米ドル(EUR/USD)、全体の約23%
- 米ドル/円(USD/JPY)、全体の約18%
- ポンド/米ドル(GBP/USD)、全体の約9%
- 豪ドル/米ドル(AUD/USD)、税体の約5%
- カナダドル(加ドル)/米ドル(CAD/USD)、全体の約4%
- 中国元/米ドル(CNY/USD)、全体の約4%
- スイスフラン/米ドル(CHF/USD)、全体の約4%
- ユーロ/ポンド(EUR/GBP)、全体の約2%
以上のように、1位~7位までの通貨ペアの全てに、米ドル(USD)が含まれています。そのため、「ドルストレート」を選ぶ方が、チャートの動きに変なクセも少なく、わかりやすい動きをするため、扱いやすいわけです。
ただし、「クロス通貨」は「ドルストレート」に比べて流通量が少ないといっても、貨幣別の取引高は多いです。
- 米ドル(USD)、全体の約44%
- ユーロ(EUR)、全体の約15%
- 日本円(JPY)、全体の約11%
- ポンド(GBP)、全体の約6%
- 豪ドル(AUD)、全体の約4%
- スイスフラン(CHF)、全体の約3%
- カナダ・ドル(CAD)、全体の約2%
「円」の取引高は、通貨別に見ると3位です。また、「クロス円」にちなんだニュースは、日本に住んでいれば簡単に手に入るります。そのため、「米ドル」の含まれない「クロス円」をメインにして取引を行うのも、悪い選択肢ではないと言えます。
米ドルの絡む通貨ペアは、スプレッドが小さい理由
「ドルストレート」は、スプレッドが小さくなりやすいです。世界の主要通貨は米ドルなので、米ドルのからむ通貨ペアである「ドルストレート」は、直接取り引きできます。そのため、通貨ペアの交換の手数料であるスプレッドも小さくなります。
- 実際の取引:米ドル → ユーロ
- 実際の取引:米ドル ← 豪ドル(オーストラリアドル)
一方、米ドルの絡まない取引は、一旦、米ドルを仲介して取引されます。例えば、日本円でユーロを買う場合、実際には、次のような取引になります。
- 私たちのイメージ:日本円 → ユーロ
- 実際の取引:日本円 → 米ドル → ユーロ
日本円で直接ユーロを買うことはできないので、一旦、米ドルに変えてから、ユーロを買うわけです。「ドルストレート」でない取引は、米ドルを挟む手間賃がかかるので、手数料であるスプレッドも大きくなってしまうわけです。
「ドルストレート」のスプレッドが小さいのは、FX口座ごとに公開されている、平均スプレッドの表を見ればよく分かります。例えば、海外FX口座の「XM」のスタンダード口座の、2019年3月14日時点での平均スプレッドは、次のようになっています。左側が「ドルストレート」、右側が「クロス円」になっています。
- USD/JPY は スプレッド1.6pips
- EUR/USD は スプレッド1.6pips、EUR/JPY は スプレッド2.5pips
- GBP/USD は スプレッド2.1pips、GBP/JPY は スプレッド3.3pips
- AUD/USD は スプレッド1.9pips、AUD/JPY は スプレッド3.3pips
- USD/CAD は スプレッド2.1pips、CAD/JPY は スプレッド3.4pips
- USD/CHF は スプレッド2.3pips、CHF/JPY は スプレッド3.0pips
- NZD/USD は スプレッド2.9pips、NZD/JPY は スプレッド4.0pips
「XM」の平均スプレッドを並べてみると、USDの絡んでいる「ドルストレート」の方が、スプレッドが小さいのがよく分かります。
ただし、スプレッドは、証券会社ごとの通貨ペアの取引量によっても違ってきます。そのため、単純に「ドルストレートの方がスプレッドが小さい」とは言えません。
日本のFX口座の場合は、「クロス円」の取引も多いため、「ドルストレート」より「クロス円」の方が安い場合もあります。例えば、「DMM FX」の2019年1月のスプレッドは、次のようになっています。
- USD/JPY は スプレッド0.3銭
- EUR/USD は スプレッド0.4pips、EUR/JPY は スプレッド0.5銭
- GBP/USD は スプレッド1.0pips、GBP/JPY は スプレッド1.0銭
- AUD/USD は スプレッド0.9pips、AUD/JPY は スプレッド0.7銭
- USD/CAD は スプレッド1.8pips、CAD/JPY は スプレッド1.7銭
- USD/CHF は スプレッド1.6pips、CHF/JPY は スプレッド1.8銭
- NZD/USD は スプレッド1.6pips、NZD/JPY は スプレッド1.2銭
日本の証券会社を使うなら、「ドルストレート」より「クロス円」の方がスプレッドが小さいこともよくあります。海外のFX口座で取引するなら、ダントツで「ドルストレート」の方がスプレッド的に有利ですが、日本のFX口座で取引するなら、「クロス円」でもスプレッド的にはほぼ問題ありません。
FXの通貨ペアはどれがいいの?
以上より、使うFXの口座により、次のようになります。
- 海外のFX口座:「ドルストレート」がメイン
- 日本のFX口座:「ドルストレート」か「クロス円」
また、情報の入手のしやすさと、スプレッドの小ささを考慮すると、おすすめの通貨ペアは、次の3つです。
- 米ドル円(USD/JPY)
- ユーロ円(EUR/JPY)
- ユーロ米ドル(EUR/USD)
日本のFXトレーダーのほとんどは、情報の入手のしやすさと、スプレッドの小ささから「ドル円(USD/JPY)」で取引しています。そのため、「ドル円(USD/JPY)」の話題を取り上げる方が多いため、「ドル円(USD/JPY)」の最新の情報なら、ブログやtwitterで簡単にチェックすることもできます。
なお、ハイリスクハイリターンでの取引に興味があるなら「ポンド(GBP)」を混ぜるのもおすすめです。「ポンド(GBP)」は、素直なチャートながら、値動きが大きいため、ハイリスクの危険もありますが、大きく勝つことも多いため、人気の通貨になっています。
- GBP/USD(ポンド/米ドル)
- GBP/JPY(ポンド/円)
- EUR/GBP(ユーロ/ポンド)
ただし、「英ポンド」は、手数料であるスプレッドが広いため、数秒~数分でトレードを繰り返す「スキャルピング」には向いていません。そのため「英ポンド」で取引を行う場合は、1日数回のトレードで関係する「デイトレード」以上の感覚のトレードスタイルに向いています。
なお、監視する通貨ペアが多くなれば、それだけ儲けるチャンスも多くなりますが、目視でたくさんのチャートをチェックするのは大変です。そのため、個人トレーダーの多くは、1~2通貨しか扱わず、多くても3通貨程度です。
扱う通貨ペアが多くなると、それぞれの通貨ペアの最適なロット数を覚えるのも大変なため、スピーディな対応を取ることができません。そのため、扱う通貨は、1~2通貨程度にしぼることが多いわけです。
ただし、ツールを使っていれば、たくさんの通貨ペアを監視することができ、さらに即時にそれぞれの通貨ペアに応じた最適なロット数を計算してくれます。
ちなみに、MT4(メタトレード4)というチャート・売買ソフト拡張機能で、私も使っている「マーケティングFX」は、「初心者モード」でも、主要8通貨ペアを監視することができます。「マーケティングFX」の初心者モードで扱える8通貨ペアは、アルファベット順に並べると、次のようになっています。
- AUD/JPY(オーストラリアドル/円)
- AUD/USD(オーストラリアドル/アメリカドル)
- EUR/AUD(ユーロ/オーストラリアドル)
- EUR/JPY(ユーロ/円)
- EUR/USD(ユーロ/アメリカドル)
- GBP/JPY(イギリスポンド/円)
- GBP/USD(イギリス・ポンド/アメリカドル)
- USD/JPY(アメリカドル/円)
また、「マーケティングFX」の「一般モード」なら、20通貨ペアを監視できます。監視できる20通貨は、次のようになっています。8通貨に入っていない通貨ペアには★印をつけています。
- AUD/JPY(オーストラリアドル/円)
- AUD/CAD(オーストラリアドル/カナダドル)★
- AUD/NZD(オーストラリアドル/カナダドル)★
- AUD/USD(オーストラリアドル/アメリカドル)
- CAD/JPY(カナダドル/円)★
- CHF/JPY(スイスフラン/円)★
- EUR/AUD(ユーロ/オーストラリアドル)
- EUR/CAD(ユード/カナダドル)★
- EUR/CHF(ユード/スイスフラン)★
- EUR/GBP(ユード/イギリスポンド)★
- EUR/JPY(ユーロ/円)
- EUR/USD(ユーロ/アメリカドル)
- GBP/AUD(イギリスポンド/オーストラリアドル)★
- GBP/JPY(イギリスポンド/円)
- GBP/USD(イギリスポンド/アメリカドル)
- NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)★
- NZD/USD(ニュージーランドドル/アメリカドル)★
- USD/CAD(アメリカドル/カナダドル)★
- USD/CHF(アメリカドル/スイスフラン)★
- USD/JPY(アメリカドル/円)
8通貨と比べると、20通貨の場合は「イギリスポンド」のクロス通貨が一部増え、さらに新しく「カナダドル」「ニュージーランドドル」「スイスフラン」が加わっています。
また、ツールを使えば、それぞれの通貨で、スプレッドも含めて、最適な取引通貨量も自動計算してくれるため、儲けのチャンスが一気に増えます。そのため、たくさんの通貨ペアを使って、儲けのチャンスを増やしたい方は、「マーケティングFX」をチェックしてみるのもおすすめです。