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FXにおける通貨単位
FXでは、扱う通貨の量を「通貨単位」と読ぶことがあります。
FXで取引する場合、通貨は「ドル円」「ユーロドル」などの通貨ペアで扱い、通貨ペアの左側(前側)の通貨が、扱う通貨になります。そのため、次のようになります。
- ドル円の1通貨:1ドル(円でドルを買う)
- ユーロ円の1通貨:1通貨は1ユーロ(円でユーロを買う)
- ユーロドルの1通貨:1通貨は1ユーロ(ドルでユーロを買う)
また、FXの証券会社は、ある程度まとまった通貨単位で取引するようになっており、まとまった通貨単位を「ロット」と呼びます。「ロット」は、証券会社により、「1ロット=10万通貨単位」の場合と「1ロット=1万通貨単位」の場合があります。証券会社により1ロットの通貨単位は違いますが、大まかに分けると、MT4(メタトレード4)と呼ばれる海外チャートツールを取り入れているかどうかで、1ロットを把握することができます。
- MT4を取り入れている国内FX業者・海外FX業者:1ロット=10万通貨単位
- MT4を取り入れていない国内FX業者:1ロット=1万通貨単位
このように「1ロット」に違いがあるのは、海外のFXの風習に従っているかどうかの違いです。昔は、FXは海外でのトレードが主で、海外では「1ロット=10万通貨単位」で扱われていました。そのため、海外のFX業者や、海外のチャートであるMT4を扱っている日本のFX業者は、現在でも「1ロット=10万通貨単位」としています。しかし、最近の日本の国内業者は、「手持ちの資金が少額でも気軽に始められるように」と、「1ロット=1万通貨単位」としている場合が多いわけです。
ちなみに、「楽天証券」のように、MT4を取り入れているFX口座と、MT4を取り入れていないFX口座の2つがある場合もあります。この場合は、同じ「楽天証券」でも、口座により1ロットの通貨単位量が違うので注意しましょう。
- 「楽天証券」のMT4対応コースの「楽天MT4口座」:1ロット=10万通貨単位
- 「楽天証券」のMT4未対応コースの「楽天FX口座」:1ロット=1万通貨単位
以上のように、FXでは口座が違うと、1ロットの通貨単位が違うこともあるので、気をつけるようにしましょう。FXを続けていけば、次のように、最低でも2つのFX口座を作ることになるかもしれません。
- 数秒~数分でトレードを繰り返す「スキャルピング用のFX口座」
- 1日のうち数回トレードを繰り返す「デイトレード用のFX口座」
このときに、1ロットの通貨単位が違うと、間違いも増えやすくなります。そのため、自分の使うFXの証券会社は、「1ロット」の数が同じになるように揃えるようにするといいかもしれません。基本的に、FXで取引するときは、「最低通貨単位」の数や「ロット数」で注文をすることがあるので、揃えておいた方が、使いやすいです。
FXにおける最低の取扱通貨単位とは?
日本のFX業者は、気軽にFXに取り組めるように、他にも工夫しています。気軽にFXに取り組める日本のFX業者の作戦の一つが、非常に小さいロットから注文できる業者の多い点です。
昔、FXを店頭注文や電話注文でしか行えない時代は、FX業者では最低の注文は「1万通貨単位」からでした。そのため、一般の方にとって、FXは、ハードルの高い投資でした。しかし、ネットでのFXの注文が一般的になるにつれて、現在では「1000通貨単位」からの注文が一般的になっています。ちなみに1000通貨単位は、FX業者のロットの計算方法により、次のようになります。
- 1ロットが10万通貨単位の業者:最低1000通貨単位の場合、0.01ロットから注文OK
- 1ロットが1万通貨単位の業者:最低1000通貨単位の場合、0.1ロットから注文OK
しかし最近の日本のFX業者は、1通貨単位や100通貨単位から注文できる業者も出てきています。主な国内FX業者の、最低注文取引単位は、次のようになっています。
- 1通貨単位から発注できる国内FX業者:SBI FX、OANDA(MT4未対応のコース)
- 100通貨単位から発注できる国内FX業者:マネーパートナーズ
- 1000通貨単位から発注できる国内FX業者:FXプライム(GMO)、FXブロードネット、YJFX、ヒロセ通商、外為どっとコム、楽天FX口座、楽天MT4口座
- 1万通貨単位から発注できる国内FX業者:DMM FX、GMOクリック証券(FXネオ)
ちなみに、「10000通貨単位」から取引できる「DMM FX」と「GMOクリック証券」は、日本のFX業者の中でも、知名度が高いです。というのも、2つの証券会社は、次のようなブランド力を持っているからです。
- FX口座開設数が国内No.1:DMM FX
- FX取引高7年連続世界第1位:GMO クリック証券(FXネオ)
しかし、「DMM FX」「GMO クリック証券(FXネオ)」どちらも、最低注文取扱単位は1万通貨単位からなので、利益や損失の微調整が難しいです。「DMM FX」や「GMOクリック証券(FXネオ)」を便利に使いこなすなら、トレードのスタイルにより、資金が10万円~100万円以上ないと、大変かもしれません。
FXの最適な最低通貨単位とは?
FXにおける最適な通貨単位は、常に損失をベースに計算します。そのため、次のような考え方で、計算するようにしましょう。
- 悪い計算方法:資金に応じて「1回のトレードでいくら儲けるかをベースにする」
- 良い計算方法:資金に応じて「1回のトレードでいくらまで損していいかをベースにする」
なお、1通貨単位の取引で損していい額は、「pips」という単位で表します。わかりやすい「ドル円」でいうと、「1pips=0.01円(1銭)」になります。1回のトレードで損していい「pips」はトレードの手法により違い、大体の目安は、次のようになります。
- 数秒~数分でトレードを繰り返す「スキャルピング」の場合:マイナス5pipsまで
- 1日のうちに数回トレードをする「デイトレード」の場合:マイナス25pipsまで
なお、ドル円の場合、0.1pipsの調整は、扱う最低通貨単位により、次のようになります。
- 最低1通貨単位の発注:最低1ドルの取引で、1pips動くと、0.01円
- 最低100通貨単位の発注:最低100ドルの取引で、1pips動くと、1円
- 最低1000通貨単位の発注:最低1000ドルの取引なので、1pips動くと、10円
- 最低10000通貨単位の発注:最低1万ドルの取引なので、1pips動くと、100円
なお、安全に取引したい場合、FXの1回の取引で損していい金額は、資金の1%までです。そのため、資金に応じて、次のようになります。
- 資金1万円の場合:1回のトレードで100円の損までならOK
- 資金10万円の場合:1回のトレードで1000円の損までならOK
- 資金100万円の場合:1回のトレードで1万円の損までならOK
- 資金1000万円の場合:1回のトレードで10万円の損までならOK
では、資金1万円の場合、最低取引単位ごとに、何pipsまで耐えられるか見てみます。
- 資金1万なら100円の損までOK:最低1通貨なら、1万pipsの上下にしか耐えられない
- 資金1万なら100円の損までOK:最低100通貨なら、100pipsの上下にしか耐えられない
- 資金1万なら100円の損までOK:最低1000通貨なら、10pipsの上下にしか耐えられない
- 資金1万なら100円の損までOK:最低1万通貨なら、1pipsの上下にしか耐えられない
そのため、資金1万円の場合、最低取引単位の選択は、次のようになります。
- スキャルピングは、5pipsまで耐えなければいけない:最低取引単位は1000通貨以下
- デイトレードは、25pipsまで耐えられなければいけない:最低取引単位は100通貨以下
次に、資金10万円の場合、最低取引単位ごとに、何pipsまで耐えられるか見てみます。
- 資金10万なら1000円の損までOK:最低1通貨なら、10万pipsの上下にしか耐えられない
- 資金10万なら1000円の損までOK:最低100通貨なら、1000pipsの上下にしか耐えられない
- 資金10万なら1000円の損までOK:最低1000通貨なら、100pipsの上下にしか耐えられない
- 資金10万なら1000円の損までOK:最低1万通貨なら、10pipsの上下にしか耐えられない
そのため、資金10万円の場合、最低取引単位の選択は、次のようになります。
- スキャルピングは、5pipsまで耐えなければいけない:最低取引単位は1万通貨でもOK
- デイトレードは、25pipsまで耐えられなければいけない:最低取引単位は1000通貨以下
最後に、資金100万円の場合、最低取引単位ごとに、何pipsまで耐えられるか見てみます。
- 資金100万なら1万円の損までOK:最低1通貨なら、100万pipsの上下にしか耐えられない
- 資金100万なら1万円の損までOK:最低100通貨なら、1万pipsの上下にしか耐えられない
- 資金100万なら1万円の損までOK:最低1000通貨なら、1000pipsの上下にしか耐えられない
- 資金100万なら1万円の損までOK:最低1万通貨なら、100pipsの上下にしか耐えられない
そのため、資金100万円の場合、最低取引単位の選択は、次のようになります。
- スキャルピングは、5pipsまで耐えなければいけない:最低取引単位は1万通貨でもOK
- デイトレードは、25pipsまで耐えられなければいけない:最低取引単位は1万通貨でもOK
以上より、スキャルピング・デイトレードどちらもする場合、ある程度安定して取引したいなら、「資金×最低取引単位」の関係は、次のようになります。
- 資金1万:最低取引単位は100通貨以下
- 資金10万:最低取引単位は1000通貨以下
- 資金100万:最低取引単位は1万通貨でもOK
逆に、最低取引単位が1万通貨単位の「DMM FX」や「GMOクリック証券(FXネオ)」を選ぶ場合は、ある程度安定して取引したいなら、「トレードのスタイル×資金」の関係は、次のようになります。
- スキャルピング:最低取引単位が1万通貨の口座を選ぶ場合は、資金10万以上
- デイトレード:最低取引単位が1万通貨の口座を選ぶ場合は、資金100万円以上
FXの最適な通貨単位とは?
FXにおける最適な通貨単位も、同じように資金の1%の損失になるように計算すれば、求めることができます。まず、資金の1%の損失は、先ほど書いたように、次のようになります。
- 資金1万円の場合:1回のトレードで100円の損までならOK
- 資金10万円の場合:1回のトレードで1000円の損までならOK
- 資金100万円の場合:1回のトレードで1万円の損までならOK
- 資金1000万円の場合:1回のトレードで10万円の損までならOK
また、スキャルピングは、損失が5pips以内になるようにするので、「1pips=0.01円」で計算すると、安全にトレードできる上限の通貨単位は、次のようになります。
- 資金1万円の場合:5pips(0.05円)で100円の損になるのは、2000通貨のとき
- 資金10万円の場合:5pips(0.05円)で1000円の損になるのは、2万通貨のとき
- 資金100万円の場合:5pips(0.05円)で1万円の損になるのは、20万通貨のとき
- 資金1000万円の場合:5pips(0.05円)で10万円の損になるのは、200万通貨のとき
同じように、デイトレードは、損失が25pips以内になるようにするので、「1pips=0.01円」で計算すると、安全にトレードできる上限の通貨単位は、次のようになります。
- 資金1万円の場合:25pips(0.25円)で100円の損になるのは、400通貨のとき
- 資金10万円の場合:25pips(0.25円)で1000円の損になるのは、4000通貨のとき
- 資金100万円の場合:25pips(0.25円)で1万円の損になるのは、4万通貨のとき
- 資金1000万円の場合:25pips(0.25円)で10万円の損になるのは、40万通貨のとき
この計算を逆にしていけば、「資金×損切の%×損切のpips」により、最適な通貨単位を計算することもできます。計算式は、次のようになります。
- (現在の資金×損切の%÷100)÷(損切のpips÷100)=最適な通貨
この計算式を、試しに、先程の「資金100万・損切1%・損切5pips」に当てはめると、次のようになります。
- (資金100万×1÷100)÷(5pips÷100)=1万÷0.05=20万通貨
同じようにして、ハイリスクでスキャルピングを始めようとする方によくあるパターンとして「資金30万・損切3%・損切5pips」で計算してみると、次のようになります。
- (資金30万×3÷100)÷(5pips÷100)=9000÷0.05=18万通貨
そのため、デモ口座で刺激的なスキャルピングを試してみたい方は、デモ資金30万なら、1回で18万通貨の取引をすれば、楽しめるかもしれません。ただし、デモ資金30万円だと、レバレッジ25倍なら750万円分の取引しかできないため、1ドル100円だとしても7万5000ドル通貨しか取引できません。そのため、「資金30万・損切3%・損切5pips」でスキャルピングをするなら、日本のデモ口座でなく海外のデモ口座を使う必要があります。
なお、毎回、資金に応じて計算し直すのは大変なので、自分用に表を作っておいたり、Excelの関数で計算式を作っておいたり、資金が10万円増えるごとに計算し直して暗記しておいたりすれば、便利かもしれません。
ちなみに、毎回、計算するのがメンドウという方は、私も使っているMT4(メタトレーダー4)に設定することで使える「マーケティングFX」を使うのもいいかもしれません。
「マーケティングFX」は、チャートに自動で重要ラインを引いてくれたり、自動で売買サインを出してくれるだけでなく、最適な通貨数(ロット数)を自動で計算してくれます。また、損切の%も「1%」だけでなく、「0.5%」や「3%」といった好きな%に変更することができるため、リスクのとり方によって調整することも可能です。